はじめまして
読み聞かせアドバイザーの葛宮恵(かつみやめぐみ)と申します。このたびご縁をいただき、この「アルモニア」のページを通して、みなさまに読み聞かせや本の情報などを発信させていただくことになりました。楽しんいただければ幸いです。
まずは自己紹介をさせていただきます。
1964年、新潟県十日町市生まれ。十日町市は日本有数の豪雪地として知られています。積雪量は4~5mにもなり、降雪量でいえば10m以上。雪に埋もれた長い冬は楽しみも少なく、本を読むことが唯一の楽しみで、過疎地の小さな小学校の、小さな図書室の本を、全冊読んでしまうほどでした。
結婚して子どもがおなかにいると分かったときに「人間の脳は3歳までに80%に成長する。その期間に言葉のシャワーを大量に浴びせることが大切だ」という記事を読んだことがきっかけで、おなかの子どもに向かって読み聞かせを始めました。わたし自身は、読み聞かせをしてもらったことも、子どもの頃に絵本を読んだこともあまりありませんでしたが、子どもたちに読み聞かせをするうちに絵本が大好きになり、絵本の力を感じ、絵本の世界に引き込まれ、絵本に癒されていきました。
本の楽しさをたくさんの人たちに知ってもらおうと、図書館ボランティアとしても活動し、絵本の朗読、紙芝居、素話、手遊び、ブックトーク、パネルシアターなどの「かわいいおはなし会」も定期的に開催してきました。
もっともっと親子で絵本を楽しんでほしい、読み聞かせによって、子どもたちに読書が好きになってほしい、そんな思いで活動しています。読者のみなさんにも、親子で絵本を楽しんでもらえたらなあと思います。生活の中でお子さんが何かに興味を持ったら、関連する本を読んでみましょう。絵本に出てきたものを見せてあげたり、体験する機会を作るのもいいですね。また、読みながら聞いているお子さんの表情をよく見てください。質問にもすぐに答えるのではなく一緒に考えてみましょう。そのやり取りも楽しいですよ。
何のために生きるのか…?『100万回生きたねこ』
さて、第1回は、わたしが一番好きな絵本をご紹介します。
猫好きなわたし(オス猫2匹と暮らしています)がおすすめしたいのは
『100万回生きたねこ』佐野洋子作・絵 (1977年, 講談社)です。
ご存じの方もたくさんいらっしゃるでしょう。この本は今でも読むたびに泣いてしまいます。子どもたちも、読むたびに必ず泣いていました。最後には大泣きするとわかっているのに「お母さん、また読んで。」とせがむのです。
「でもまた絶対泣いちゃうよね。」
「悲しくなるけど読んでほしい。」
そして、最後にはやっぱり泣きじゃくるのでした。
読み終わった後には
「何回も何回も生き返ったのにどうしてねこは最後には生き返らなかったの?」
「どうしてかなあ?どうしてだと思う?」
「ねこはちゃんと生きたんだね。」
「ねこはきっと気がすんだんだよ。」
悲しい終わり方なのに、読み終わった後になぜか納得したような気持ちになるのは、生きるという意味を、子どもでもぼんやりと理解できるからではないでしょうか。
わたしは、この絵本が伝えたいメッセージは
「何のために生きるのか」ということだと思っています。
人間にも通じる恋愛の本でもあり、誰かを愛して、誰かのために生きる…
そんな、大人のための絵本でもありますね。
さて、2017年、みなさんの抱負はどんなことでしょう?読み聞かせを続けていると、日々の生活の中でもお子さんの変化にびっくりすることがたくさんありますよ。今年は親子で、家族で、絵本の楽しさを共有してみませんか。これからご紹介させていただく本がみなさまのお役に立てることを願っています。
プロフィール
読み聞かせアドバイザー 葛宮恵(かつみや めぐみ)
慶應義塾大学文学部を卒業。
自身の子どもたちに小学校卒業まで読み聞かせを続けるとともに、読み聞かせや紙芝居、パネルシアターなどの『かわいいおはなし会』を開催。 本の楽しさをたくさんの親子に伝えるために活動中。
