学ぶことから暮らしの中での実践へ(2)

 

「連続講座 知ろう!始めよう!私たちのフェアトレード(前期)」レポートvol.2

 こんにちは。八王子市内でさまざまな講座やワークショップを開催している市民団体「八王子市民のがっこう まなび・つなぐ広場」(以下、まなび・つなぐ広場)です。この連載では、私たちが実施したフェアトレード講座のレポートをお届けしています。前回、フェアトレードとは何か、なぜ講座で取り上げるのかをお伝えしました。

    前回記事はこちら → 

 今回は、より具体的に、フェアトレード商品のコーヒーについて学んだ講座とフェアトレード商品を取り扱うNGOの方に来ていただいた講座を振り返って書いてみようと思います。

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 フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、生産者地域の生活や環境の向上をめざす貿易のこと。中でもその存在を広く知られ、産地も種類も増えている商品がコーヒーです。数多くの種類が製造されている缶コーヒー、増え続けるカフェ、昨今はコンビニ・コーヒーもすっかり定着し、コーヒーは私たちの暮らしに欠かせない存在となっています。コーヒーは、遠く熱帯・亜熱帯地方において生産されています。代表的な産地はブラジル、ベトナム、コロンビア、インドネシア、エチオピアなど、北緯25度~南緯25度までのコーヒーベルトと呼ばれる地帯の国々。コーヒーを多く消費するのはいわゆる先進国ですが、現在コーヒーを生産する多くの農家は、アンフェアな貿易の仕組みにより不安定な生活状況にあります。

 まなび・つなぐ広場で6月に実施した講座では、アジア太平洋資料センター(PARC)作成のDVD「コーヒーの秘密~南北問題が見えてくる」と開発教育協会の参加型学習教材「コーヒーカップの向こう側」を使った参加型ワークショップを通して、自由貿易におけるコーヒーの生産現場の置かれた状況を学び、自分たちができることを考えました。DVDでコーヒー生産の歴史と現状を学び、ワークショップではコーヒー農園の栽培契約のシミュレーションゲームをしました。シミュレーションでは、現金収入を増やすためにコーヒー栽培が持ちかけられたらという設定で、各グループを一家族としてそれぞれコーヒーの作付面積を決め、1~4年間の収支を出しました。天候やコーヒーの国際価格によって収入が増減する不安定さ、不利な契約を結ばされる立場の弱い生産者を体験し、参加者からは驚きの声が上がりました。一杯のコーヒーの背景にある世界の不平等さやアンフェアな仕組みへの気づきと共に、自分たちは何ができるのかを考える時間となりました。

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 私たちにできることのひとつは、生産者がより良い条件で取引ができるしくみ、すなわち「フェアトレード」の商品を選ぶことです。市民団体により設立された日本の民衆交易の草分けである交易会社オルター・トレード・ジャパン(ATJ)とともにフェアトレードのネットワークを広げている特定非営利活動法人APLA(Alternative People’s Linkage in Asia / あぷら)の方に来ていただいた7月の講座では、一般的なチェーンのカフェで頼むコーヒー1杯トールサイズ330円の90%がカフェの収入となり、7%が輸出業者や地元の貿易会社へ、生産者の収入になるのは実に1-3%、金額にすると3-9円にしかならないとのお話がありました。高いというイメージのフェアトレードコーヒーですが、とあるフェアトレードの豆は200グラム800円、1杯40円。家で飲むことを思うとフェアトレードのコーヒーはけして高くはなく、飲むことで生産地のより良い暮らしや安定的な収入につながります。あなたはどちらのコーヒーを選びますか?

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 APLAではコーヒーの他にも様々なフェアトレード商品(フィリピンの砂糖やバナナ、パプアのチョコレート、パレスチナのオリーブオイル、インドネシアのエビ、フランス・ゲランド地方の塩など)を取り扱っています。APLAスタッフの方が語ってくださったフェアトレードに関わる理由として「モノを通じて、世界(わたしの場合は特にアジア地域)のことを知ってほしい!自分たちとのつながりを感じてほしい!モノを通じて、世界(わたしの場合は特にアジア地域)のことを知ってほしい!自分たちとのつながりを感じてほしい!」「普段飲んだり食べたりするもの、身につけるもの、使用するエネルギー(のもとになる資源)が、世界で起きていることとどうつながっているのか、それに気づくきっかけを!フェアトレード商品を買えばそれでOK(=社会に貢献)ではなく、フェアトレード商品を通じて、社会全体の「アンフェア」な貿易や経済の仕組みについて考え、行動していけるように!」「価値観の転換、シフトチェンジが必要~友産友消、フェアトレード、地産地消、自給自足、シェアリング」がとても心に残りました。フェアトレード商品を買うことで満足するのではなく、私たち自身で世界の諸課題を知り、考え、それぞれができることで行動していくこと、フェアトレードはその一つの行動やきっかけであるということは、私たちも講座を通して発信していきたいメッセージです。

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このようにまなび・つなぐ広場のフェアトレード講座では、身近なものを通してフェアトレードや世界の諸課題について学んでいきます。今回代表的なフェアトレード商品のひとつとしてコーヒーについてご紹介しましたが、12月の講座では、コーヒーをはじめとした様々なフェアトレード商品を数多く取り扱っているお店「Earth Juice」(国分寺)を訪問し、フェアトレードへの思いや現状について伺います。お買い物もできちゃいますよ!そして1月14日(土)はもう一つの代表的なフェアトレード商品であるチョコレートがテーマです。なんとフェアトレードチョコレートをカカオから作るワークショップです。日頃何気なく食べているチョコレートはどんなものから、どうやって作られているのか、知る機会です。ぜひご参加お待ちしております!さらに特別篇として2月には「バレンタイン直前!フェアトレードチョコレートを食べ比べて、本当に贈りたいチョコレートを探そう!(仮)」も開催予定です。単発受講も歓迎です。お待ちしております。

 

次回の更新は1月の予定です。地域リソースとフェアトレードのお話です。どうぞよろしくお願いいたします。

【参考文献・サイト】

<DVD> 「コーヒーの秘密~南北問題が見えてくる」 

<教材>「コーヒーカップの向こう側」

開発教育協会(DEAR)

APLA(Alternative People’s Linkage in Asia / あぷら)

オルター・トレード・ジャパン(ATJ) 

アジア太平洋資料センター

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「知ろう!始めよう!私たちのフェアトレード 地域・世界とつながる私たちの暮らし」

全5回(前期を受講していない方でもご参加いただけます。単発受講も可。)

 ※予定は現在のものです。内容は多少変更する可能性があります。

※会場はアミダステーションもしくは八王子駅近辺の予定です(ショップ訪問を除く)。

 参加費:全5回3500円(会員3000円)、単発受講800円(会員700円)

10/11(火)19時~ コミュニティ活動とフェアトレード(終了)

11/8(火)19時~ バナナとフェアトレード(終了)

12/13(火)19時~ フェアトレードショップ訪問

1/14(土)14時~ チョコレートとフェアトレード

2/28(火)19時~  最後のまとめ(八王子フェアトレードマップの完成、今後に向けて)

 

特別編(講座を受講していない方でもご参加いただけます。単発受講も可。)

 

※予定は現在のものです。内容は多少変更する可能性があります。

※参加費はそれぞれ異なります。

※会場はアミダステーションもしくは八王子駅近辺の予定です(リソース探検を除く)。

 

11/6(日) 10時半~  映画「バナナの逆襲」上映会(終了)

(上映は午前、午後2回、15時〜 ゲストトーク:小林和夫さん(オルター・トレード・ジャパン)

11/20(日)10時~16時 八王子リソース探検 福祉団体や農場訪問 (終了)

11/29(火)19時~  リソース探検のふりかえりと八王子フェアトレードマップ作り

2/11(土)フェアトレードチョコレートイベント

 

☆小さなフェアトレードショップ「くらし・つなぐストア」始めました☆

講座で紹介した様々な商品や、応援したいフェアトレード/地産地消/友産友消/ウェルフェアトレードなどの品々を集めています。現在西八王子の素敵なカフェ喫茶miracleに常設中。詳しくは「くらし・つなぐストア」のFacebookページをチェックしてください。

 

八王子市民のがっこう「まなび・つなぐ広場」

フェアトレードプロジェクトチーム

大野のどか

 

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八王子市民のがっこう「学び・つなぐ広場」は、八王子市内でさまざまな講座やワークショップを開催している市民団体です。未来の人たちに手渡せる社会を選ぶとるために、知る、つながる、学ぶ、動き出すをモットーに、自分たちがもっと知りたいこと、伝えたいことを、学びの場という形で発信、つながりを作っています。2016年度はフェアトレードについて知り、自分たちの暮らしの中に取り入れていこう、また八王子発のフェアトレードを始めようという思いで講座を企画、実施中。

 

 

連載 『学ぶことから暮らしの中での実践へ
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