「日本帰国!」  ノアのカナダ留学日記 - その56

「日本帰国!」 

ノアのカナダ留学日記 - その56

 

 

 5月8日、飛行機も定刻通りに到着し、日本に帰ってきました。

 一時帰国のときは1人で日本に降り立ち、飛行機の到着ゲートから税関に向かう途中、偶然通路でカナダから来て国際結婚し、奥さんと子供が日本に住んでいるというビジネスマンのおじさんに会い、いろいろ話しながら歩いていたので気付かなかったのですが、成田空港の到着ゲートにはたくさんの「おかえりなさい」の文字が。

 日本語で書かれた「おかえりなさい」を見て、本当に、しかも今回は本当の意味で帰ってきたのだなと実感しました。

 

帰国して思うこと

  不思議だなと思うのが、今回は帰ってきた実感はあっても、あまり「やっと・・・!」という気がしませんでした。家族と一緒に帰ってきたからというのもありますが、一時帰国のときは日本がとても久しぶりに感じ、「これが私の国!」と思っていたのに、今回は「それほど久しぶり感はない、でも今までの日常との違いに違和感を感じる」という、なんだか不思議な気持ちでした。

 道路が狭い、建物が密集している、看板も全て日本語、行き交う人々は皆日本語を話し、意識せずとも周りの言葉が耳に入ってくる・・・などなど、留学前、あるいは一時帰国のときも「普通」と感じていたことが「普通」でなく感じられました。上智の教授の話によれば、こういうのを「リバース・カルチャーショック」というのだそうです。

 


帰国後もK家族とは連絡を取り合っています。帰国から少しして、こんな写真が送られてきました。タック(Kさん家の犬)のことも忘れないよ!

 

 

留学の失敗・成功

 私は最初、留学に失敗・成功があるように思っていました。留学を終えた今となっては浅い考えだったと思うのですが、例えば英語学科の必修クラスで、1年留学をしたことがあるという人で非常に流暢に英語を話す友達がいると、「ああ、この人は留学に“成功”したんだな」と思っていました。

 反対に1年留学をしていたというけれど自分とあまり英語力が変わらないように思う人に対しては、「この人の留学はあまり“成功”ではなかったんだな」と思ってしまう自分がいました。

 留学に関連したガイダンスを受けたり、講演を聞いたりしても、「留学を成功させるために」というキャッチフレーズをよく目にします。私自身も留学中盤くらいまでは「私は絶対に“失敗”の留学にしない」と思ったり、英語力が思うように伸びないと「私の留学は“成功”とは言えないかもしれないな・・・」と落ち込んだりしたことがありました。

  行くか行かないか迷いに迷った留学でしたが、今、留学を終えて、行って本当によかったと自信を持って言えます。しかし、これは英語力が伸びたからではないように思います。正直、英語力の伸びで言えば、私の留学も“大成功”ではなかったと思います。ですが、日本にいるときには見えていなかったいろいろなことへの気付き、友達やK家族との出会い、その人たちから学んだ人生観や物事の考え方などなど、「留学から得たもの」と言われて挙がる多くのものは英語とは関係のないもので、単に「留学してよかった」のではなく、「カナダのエドモントンに留学してよかった」と思います。

 留学に行った人は恐らく皆同じように感じているのではないかと思います。留学していたと言うと、「じゃあこの人は英語できるんだ」という印象を持たれるし、自分も他人に対して持ちます。それは「英語」というパフォーマンスが一番目に見えるものであるからだと思います。

 だから留学して英語力が伸びれば“成功”、伸びなければ“失敗”のような考え方が生まれてしまうのだと思うのですが、留学していた人が留学から学んだことは言語以外にもたくさんあります。留学先での体験も、日々の過ごし方も、英語力の伸びも、1人1人全く違います。そうであるから、「失敗の留学」・「成功の留学」というものはなく、あるのはただ、その人だけの「私の留学」なのではないかと考えるようになったのも、私がこの留学を通して学んだことの1つです。

 


帰国後にこんなものを見つけました。留学に行く前だったら、目に留まっていなかったと思います。カナダのアルバータが私にとって特別な場所になったんだなと感じた瞬間でした。

 

 長かった留学も留学日記も、ここでひとまず終了です。お付き合いいただいた皆様、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

 留学が決まったとき、留学に行こうか悩んだとき、ふと英語を勉強してみたくなったとき、久しぶりにノアに会いたくなったとき、きっかけは何でもいいので、またこの留学日記を開いていただければ幸いです。またお会いできることを心待ちにして、そのときは皆様の気持ちに少しでも何か変化をもたらすことができれば嬉しく思います。

 それでは、また!

連載 『ノアのカナダ留学日記