「脳波測定法デモ」 ノアのカナダ留学日記 - その33

「脳波測定法デモ」 
ノアのカナダ留学日記 - その33

 

 今回は冬学期の新しい授業の1つについてご紹介します。今学期はEnglish Syntax (英語統語論)とNeurolinguistics(神経言語学)とLinguistics and Mindという言語と脳や心理の関係についての授業を取っています。

 そのうちのNeurolinguisticsの授業の一環として、ERP(Event-Related Potentials)と呼ばれる何かの活動をしているときの脳波測定法のデモンストレーションがありました。

 

Neurolinguistics(神経言語学)とは

 Neurolinguistics(神経言語学)というのは言語使用と脳の関係性についての言語学なのですが、失語症と呼ばれる言語障害もNeurolinguisticsの領域に含まれています。

 上智でも神経言語学の授業はあるのですが、大学院にST(スピーチ・セラピスト、失語症患者のリハビリのサポートなどをする職業です)養成コースがあることもあり、どちらかというと失語症についてがメインです。

 それに比べるとアルバータ大のNeurolinguisticsの授業は、教授が心理言語学という心理学と言語学の融合分野が専門なため、より脳と言語との関係性にフォーカスした授業になっています。

 

心理学ラボに潜入!

 それで、ERPという脳波測定法のデモンストレーションがあったわけですが、脳波測定と聞いてぱっとイメージが浮かぶような、あの電極がたくさんついたキャップが見られて面白かったので、すこしご紹介したいと思います。心理学専攻でもないので、こういう測定を行うのを間近で見るのは初めてでした!

 まず、被験者の頭の大きさを計測して、使うキャップを選びます。電極コードの差し込み口のついたキャップを被ってもらうだけでいいので、お手軽といえばお手軽なのですが、キャップの被り具合次第で脳波の測定場所がずれてしまうので、この頭のサイズ測定は結構シビアに行われていました。

 ただサイズの合うキャップを選ぶために頭のサイズを測るだけでなく、ちゃんと正しい場所の脳波を測定できるように、頭の周囲だけでなく前後の長さも測って、頭の中心(頂点)を計算して位置を合わせていました。

 また、頭だけでなく、目の横と耳の後ろにも電極をつけていました。これは周囲環境からの目に入るものや耳に入ってくる音のノイズを後で消去するためだそうです。

 脳の視覚や聴覚に関わる部分の働きが被験者が行っていたテストや知覚していたもの(刺激)と無関係に強くなったタイミングと、この目と耳の近くにつけられた電極が反応したタイミングが同じであれば、それは刺激のためではなく、周囲からの影響のためであり、ノイズとして結果から除きます。

 

予想外に大変そうだったのが・・・

 電極をキャップのコード差し込み口に取り付けるのには、透明なジェルをキャップの穴に差し込むのですが、被験者の人は実験後に髪に付いたこのジェルを落とすのが大変そうでした笑実験室の近くには実験後に髪を洗うためのシャンプーやコンディショナー、乾かすためのドライヤーからセットのためのブラシやヘアワックスまで置かれていて、用意周到でした。

 授業自体はまだ数回しか受けていないのですが、脳波測定のデモンストレーションが見られただけでも「教科書や論文なんかでよく見かける脳の働きを示す脳波って、こうやって測定されてるんだー」と貴重な体験ができてよかったです!

連載 『ノアのカナダ留学日記