「日本の高校英文法は言語学レベル!?」  ノアのカナダ留学日記 - その45

「日本の高校英文法は言語学レベル!?」 

 ノアのカナダ留学日記 - その45

 

 授業総括のラストは英語統語論の授業についてです。

 統語論(統辞論とも)とは、言語学の一分野で、語と語の結びつきについての分野なのですが、言語学を勉強していない人にもなじみのある言い方をすると文法に近いと思います。

 なので、主に英語の文法についての授業でした。

 

 

言語学専攻の学生におなじみの・・・

 ・・・といっても、すでに書いた通りメインは英文法について。一応、「英文法」の授業ではなく「英語統語論」の授業なので、統語論の授業では必ず登場する語と語の関係性を図示した樹形図という図の書き方は勉強しましたが(言語学を勉強したことがある方でないとピンとこないと思います。すみません!)。

 ここで英文法について語ってもと思うので(ましてや樹形図は言語学を専攻している学生でも「あれか・・・」と憂鬱になる人もいるような代物なので)、今回の授業総括は授業を受けての感想中心にしたいと思います。

 

「日本の英文法学習は高度過ぎ」は一理あるかも?

 特に近年、「日本人は文法はできるのに、英語での発信能力・コミュニケーション能力は低い」という声がよく聞かれることもあり、日本の英語学習は文法に力を入れ過ぎという風潮がありますが、今回、カナダで英語統語論の授業を受けてみて「確かにそうかも?」と思いました。

 というのも、英語統語論の授業で扱われていた内容のほとんどが、日本で勉強したときとは名称が違うものの、アイデア自体は高校の英文法の授業で勉強したことがあるものでした。

 中間・期末試験の問題にいたっては、「日本の高校で英文法を勉強した人なら全く言語学の知識がなくても半分くらいは正解できるのでは?」と思ってしまうような内容です。

 40人のクラスで私が唯一の日本人で(その他はカナダ人の学生と英語が第二言語の留学生らしい人とが半々くらいでした)、中間も期末も私が制限時間のうち半分が経過したくらいのところで最初に解答を終え、退室したのですが、そのときには他に解答を終える様子のある人はおらず、教授も驚いていたようでした。

 別に特別たくさん勉強したというわけでもなかったのに、です(むしろ他の2つの授業のテスト準備や提出物の準備が大変で、一番後回しになっていたくらいです)。

 逆に言うと、日本の高校の英文法のレベルは言語学レベルで、単純に英語でコミュニケーションを取るのに必要なレベルを遥かに超えているということです。

 

 もちろん英語を正しく読み書きしたり、話したりするのに正確な文法知識は必要ですが、英語を受験勉強としての一科目ではなく、実生活でのコミュニケーション手段として使ってみると、「これは主格の関係代名詞だ!」とか「これは第3文型だ!」などと意識している時間は全くありませんよね。

 実際の会話はそんなことを判断する間もなく進んでいきます。読み進める速度を自分でコントロールできるリーディングでさえ、入試の長文読解どころではなく、数十ページにも及ぶ論文や英語の小説などを読んでいるときにそんなことを気にしていては一向に進まないし、内容も頭に入ってこないと思います。

 となると、もちろん学校の英語の授業では文法も教えるべきだし、学習者も文法をきちんと勉強するべきだとは思いますが、入試問題でたまにある重箱の隅をつつくようなルールや、倒置や強調構文のような、実際の会話や文を読んでいる中で出会えば「あれ、いつものとちょっと違う?」とは思うものの意味は大体わかるようなものまで「文法」として覚えなくてもいいのでは?と思いました。

連載 『ノアのカナダ留学日記